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QTVRの制作過程



このページでは、私のQTVRパノラマの制作過程と機材などをまとめてみたいと思います。
まず、私が目指しているのは、コンピュータ上で閲覧できる、自分が中心にいて、その回りの空間360°全周を、グルグル見渡す感じの「QTVR PANORAMA MOVIE」です。
またこの制作過程は、現在私が行っている方法で、必ずしも正解ではなく、今後変化して行く事もありえます。(2012/5/30更新しました)



おおまかな流れ

1.撮影:

カメラを中心に、水平360°、垂直180°全周を網羅した、副数枚(私の場合は8枚)の写真を少しずつ重なるように撮ります。

2.つなぎあわせ作業:
撮影した写真を、PTGuiというソフトを使って、1枚の写真につなぎ合わせます。

3.PhotoShopで調整:

4.QTムービー化:
Pano2VRというソフトを使って、QuicTimeムービーに変換します。これで完成です。



1.撮影

撮影機材

カメラ:

2012年からCanon EOS Kiss X5。
最初のCanonのコンパクトカメラPOWER SHOT A80から、POWER SHOT S2IS、POWER SHOT A640、Canon EOS Kiss DIGITAL Xと少しずつステップアップしてきました。

レンズ:
カメラを一眼レフにした2009年からSIGMA 8mm EX DGを使っています。
コンデジ時代は、魚眼コンバージョンレンズRAYNOX DCR-CF185PROを使っていました。

パノラマ用ブラケット:
米国Fanotec社のNodal Ninja 5。2010年にサイトで注文して個人輸入したもの、この前は2009年からNodal Ninja 3を使っていました。現在は同等のものを国内の輸入業者さんで購入できます。
コンデジ時代は、エツミL型ブラケット、エツミスライディングプレートを組み合わせて使っていました。

一脚:
ベルボンのUP-4000をずっと使っています。雲台は外してNodal Ninja 5を直接付けます。2012年につなぎ合わせてさらに高い位置から撮影できるようにもう1本SLIKのS-POLE IIを買いました。

水準器:
DIYセンターで買った、棒の垂直などを見るためのもの。これが役に立ちます。

補足:上のものをセットで組んだ形にしてそのまま保管しています。組立てたり分解していると、設定が変わってしまって、必ず何か失敗するので・・・。つまり、EOS Kiss X5はほぼQTVR専用機になってしまっています。スナップや普通のパノラマ写真は別のコンデジNikon COOLPIX P7000で撮っています。


撮影方法

足もとに立てた一脚の軸を中心にして、水準器で水平を見ながら、60°回しては撮り、水平方向は6枚撮影し、ネジをゆるめて空を1枚、一脚を縮めるて、一脚の立っていたあたりの地面を目検討で1枚撮影しています。

一脚の真上にレンズの先端に近い部分が来るようにセットします、ぐるりと回して撮影する時に回転の中心になる「ノーダルポイント」と呼ばれる場所が、私の組み合わせの場合、レンズの先の方に来るためです。ノーダルポイントを大きくはずしてしまうと、回転した時に遠景と近景の位置関係に大きなズレが生じて後の作業でつなぎ合わせがうまく行かなくなってしまいます。

Canon EOS Kiss X5の設定は、ピントをマニュアル、ホワイトバランスは太陽光に固定、露出はマニュアル。これで同じピント、同じ明るさとホワイトバランスで撮影できます。つなぎあわせた時に同じ色味で同じ明るさでつながります。オートにしてはダメ!

家に帰って見てみたら、全体に明る過ぎたり暗過ぎたりして使えなかった!というのを防ぐためにオートブラケティングで、そのままと、明るめ、暗めの3カットを連射で押さえておきます。つまり0°で3枚、60°で3枚〜という感じ。

補足:レンズの前を、人や車が通り過ぎる場所では、同じところで数カット撮影しておくと、あとで部分的に活かしたり消したりできるので便利です。



2.つなぎ合わせ作業(STITCH作業)

使用ソフト:PTGui(Windows用を使っています)

デジカメで撮影し、パソコンに取り込んだ画像8枚をアイコンにドラッグ&ドロップでPTGuiのリストに登録し、Align imageボタンを押すと、8枚の画像をうまい事繋げた絵にしてくれます。うまく行かない場合はソフトが各画像に共通して写っている部分を見つけられなかったという事なので、コントロールポイントエディター画面で、隣り合った画像の共通点を指定してやります。各画像最低3点ぐらいのコントロールポイントがあればOptimizeで再計算してくれます。

何度かコントロールポイントの設定、Optimizer、Previewを繰り返し、アラが見えなくなったら。完成イメージを書き出します。

書き出す画像形式はJPEG、TIFF、PhotoShopが選べ、さらにPhotoShopでは、A.統合したレイヤー1枚絵、B.統合していない元画像数のレイヤー、C.統合したレイヤー1枚+統合していないレイヤーでの書き出しが選べるので、私の場合はCで書き出して、PhotoShopでさらに調整します。

補足:地面を撮ったカットは手持ち撮影の場合が多く、他の画像とのずれが大きいので使わないで、7枚でやるとうまく行く事が多いです。この場合地面は後で合成します。



3.PhotoShopで調整

PTGuiで書き出した画像は、複数のパノラマ素材画像の重複する部分を機械的にブレンドしてあるものなので、微妙に線がうまく繋がっていなかったり、1枚の素材にしか写っていなかった人や車などは半分消えかかった状態で出力されている事があります。それらを修正するために、前項の書き出しの時に、photoShopの統合されていないレイヤーでの書き出しを選択しています。
作業は、主に各レイヤーのマスクをブラシツールで塗ったり消したりをして、各レイヤーがうまく繋がる所を探して行きます。全体がうまく繋がったらレイヤーを統合し、TIFFで書き出します。

ここまでの作業は最初はうまく行きませんでしたが、何年か続けているうちに、各段階のスキルが上がったのかソフトが良くなったのか?、スムーズにできるようになってきました。


4.QTムービー化

使用ソフト:Pano2VR(Mac版を使っています)

ここまでで、出来上がった縦横1対2の長方形の画像をムービーに変換する作業です。ムービーの大きさ、視点、画角など様々な仕様をを変更できます。

また、ムービーに自分のサイトのロゴを入れたり、底面の合成をPTGuiではやらずにここでツギあてをするように張り込みたい場合は、出力フォーマットの項目で投影変換の立方体分割を選ぶ事で、前後左右天地の6枚の平面画像を書き出しphotoShopで編集やレタッチをした後、この6枚からムービーを作る機能も有ります。
各設定を終えて出力ファイルを作成ボタンを押すと、ムービーデータ、ページデータ、ムービーを動かすjavaスクリプトがセットになって出来上がります。



終わりに


QTVRの技術はアップル社がQuicktimeの機能の一部として発表してからもう20年近く経っているかと思います。最初の頃はデジカメもまだ今ほど一般的ではなかったし、QTVR制作用ソフトも高価でした。
しかしその後、数々の先人たちの研究開発のおかげで、ずいぶんと使いやすい技術に育ってきたのだと思います。
私は2006年にカメラに付いていたパノラマ機能とカメラ付属のソフトで、試しに10数枚のパノラマ合成から始めて、やっと完成できる所までは漕ぎ着けたという感じです。
その間、QTVRの作品を発表し、その技術やTIPSを惜し気もなく公開していらっしゃる先達の皆さんの情報を参考にさせていただきました。ありがとうございました。


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